2003/06/26

裁判あれこれ

旧三池炭鉱のじん肺補償、全面解決へ 元従業員と和解
 福岡県大牟田市の旧三井三池炭鉱のじん肺を巡る補償問題で、三井鉱山(東京)、三井石炭鉱業(同)両社と、元従業員らでつくる「不知火珪友会(しらぬいけいゆうかい)」との間で合意(和解)が成立したことがわかった。両社は同会の患者らに約8億6000万円の補償金を支払う。国内最大級の旧三池炭鉱で起きたじん肺をめぐる補償問題は、この和解で全面解決することになる。
 不知火珪友会の会員は主に旧三池新労組と旧三池職組に所属した従業員ら。関係者によると、和解成立は今月11日。補償の対象は患者256人と遺族192人の計448人で、症状の重さや勤続年数などに応じて今月中に分配される見通しだ。じん肺を引き起こした三井側の法的責任には触れないことでも合意した。

尼崎公害訴訟、原告住民と国が公調委あっせん案に合意
00年12月に大阪高裁で和解した尼崎大気汚染公害訴訟をめぐり、兵庫県尼崎市の原告の一部21人が「国が和解条項を守っていない」として国の公害等調整委員会(委員長=加藤和夫・元札幌高裁長官)に申請したあっせん協議が26日、東京都内であった。公調委は「汚染実態は未改善」とし、大型車について車線制限やナンバーによる通行禁止などの規制策を示し、この規制に向けて国土交通省が国道43号で交通量を調査することなどを盛り込んだあっせん案を提示。原告と国交省、阪神高速道路公団が合意した。

国に60万円賠償命令 イラン人元受刑者への暴行事件判決
 府中刑務所(東京都府中市)で服役中、革手錠による暴行を受けたなどとして、イラン人男性(36)が国に1500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が26日、東京地裁であった。市村陽典裁判長は、不必要な革手錠の装着や保護房への収容、看守による暴行を認めたが、いずれも時効が成立しているとして、抗精神病薬を無理やり注射した行為についてだけ慰謝料など60万円の支払いを命じた。
 判決によると、男性は傷害事件で懲役4年の判決を受け、93年10月〜97年1月まで服役。この間に当時の副看守長が男性の顔を2回殴った▽暴れる恐れもないのに革手錠を使用したり、保護房に収容したりした——などと認定。中でも94年7月の革手錠の装着は「約20時間半にわたり、違法性は重大」と判断された。

オウム転入届不受理、自治体の敗訴確定
 オウム真理教(アーレフに改称)の信徒が東京都杉並区と名古屋市に転入届の受理を拒否され、不受理処分の取り消しを求めた二つの訴訟で、最高裁第一小法廷は26日、杉並区と名古屋市などの上告を棄却する判決を言い渡した。自治体側の敗訴が確定した。
 第一小法廷は「住民基本台帳法上、市区町村に住所を定めた事実があれば、市区町村長は法が定める以外の理由で転入届を受理しないことは許されず、住民票を作成しなければならない」と判断。不受理を取り消した一、二審判決を全面的に支持した。オウム信徒の住民票問題をめぐる最高裁判決は初めて。
 判決理由の中で、第一小法廷は「自治体側は、地域の秩序が破壊され住民の生命や身体の安全が害される危険性が高度に認められるような特別の事情がある場合には、不受理が許されるというが、実定法上の根拠を欠く主張と言わざるを得ない」とも述べた。

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