オウム転入届不受理訴訟、自治体側の敗訴確定へ
転入届の受理を拒否した東京都杉並区と名古屋市を相手にアーレフ(オウム真理教から改称)の信徒が不受理処分の取り消しを求めた二つの訴訟の上告審判決が26日に言い渡されることが決まった。最高裁第一小法廷が19日までに関係者に判決期日を通知した。住民票不受理の違法性について最高裁が判断を示すのは初めて。弁論を開かないまま判決となることから、自治体側の敗訴が確定する。
二審の東京、名古屋両高裁判決は「居住の実態を反映した転入の届け出がされた以上、市区町村長は受理する法的義務がある」などと理由を述べていた。
解雇は不当 内部告発の公益性認める判決 大阪地裁
大阪いずみ市民生協(本部・大阪府堺市、組合員約29万人)の男性職員3人が、前副理事長らによる「組合資産の私物化」を内部告発したのを理由に解雇されたのは不当だとして、前副理事長ら元役員2人に1300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が18日、大阪地裁堺支部であった。高田泰治裁判長は「内部告発は実力者の不正を明らかにしようとしたもので、内容の根幹は真実。公益性は高く、告発の方法も正当だった」と述べて解雇の違法性を認め、前副理事長らに慰謝料計500万円の支払いを命じた。
原告の代理人弁護士らによると、内部告発をめぐる訴訟で、正当な告発の基準を示し、組織の上層部への損害賠償まで認めたのは初めて。内閣府が制度設計を進める公益通報者保護制度の内容にも影響を与えそうだ。
判決によると、職員3人は97年5月、生協の実質トップだった前副理事長が「生協の施設を私邸として使っている」などと書いた匿名の文書を組合総代会の出席予定者500人以上に郵送した。生協側は文書を捏造(ねつぞう)と否定し、「生協の名誉や信用を傷つけた」として、翌月までに職員2人を懲戒解雇、1人を出勤停止などの処分にした。
高田裁判長はまず、告発の正当性について(1)内容の根幹的部分が真実(2)目的が公益性を有する(3)内容が組織にとって重要——などの基準を示した。そのうえで「告発された内容がその後改善され、生協にとって極めて有益だった」と認定。内部資料のコピーを無断で持ち出した点などを考慮しても、「告発を正当と認めるべきだ」と述べた。
懲戒解雇の2人は99年6月に地位保全の仮処分決定を同支部で受けている。原告の一人は「中傷もされたが、私たちは正しいことをしたのだと改めて感じている」。前副理事長側の代理人は「組織に混乱を生じさせたことが正当な内部告発といえるのか疑問だ。控訴せざるを得ない」と話した。 (06/19 00:35)
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