2004/02/26

「憲法裁判所」を検討へ=最高裁の現状に不満−自民

 自民党憲法調査会の憲法改正プロジェクトチーム(杉浦正健座長)は26日夕の会合で、「憲法裁判所」の設置を検討していくことで一致した。今後議論を重ね、7月の参院選前にまとめる論点整理に盛り込む方針だ。憲法問題をめぐっては、民主党の菅直人代表も憲法裁判所設置を提言しており、憲法改正と併せ違憲審査の在り方も主要な論点となりそうだ。
 会合では、最高裁の現状について中山太郎衆院憲法調査会長が「違憲訴訟で判断を避けている」などの問題点を指摘。他の出席者からも「憲法解釈を内閣法制局に委ねず、民主的な仕組みに改めるべきだ」などの意見が相次いだ。今後、最高裁との関係を含め憲法裁判所の具体的内容を議論していくことになった。 (時事通信)
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当然の流れとしてとらえたほうがよいのだろうか。新しい憲法を作ろうと調査している人間が、変遷だの、解釈改憲だのを好ましく思うはずがない。
「憲法の番人」とは誰かであるが、それ以上に、このときの憲法の中身はどうなっているかというのも、重要であろう。
憲法裁判所の創設によって(つまり新憲法の下で)違憲とされる法律は、現行憲法の価値観に合致しており合憲である法律も論理必然的に違憲となることを覚えておいた方がいいのではないだろうか。
それがよいかどうかはまた別の問題である。ただそうだということだ。
なお、一応、システム的には、一般法で、憲法裁判所を設立することは可能だが、おそらくそれは面倒になるだろう。
1952年の最高裁判決で付随的違憲審査制を判例法上確立したので、これまたシステム的には、大法廷による判例変更で、抽象的違憲審査制にすることも可能である。
ただ、憲法裁判所は抽象的違憲審査制につながるわけではない。しかし、どうやら念頭にあるのは、抽象的違憲審査制のようである。
ついでに言えば、「憲法解釈を内閣法制局に委ねず、民主的な仕組みに改めるべきだ」とあるが、これは憲法裁判所について論議される場では、何の意味もない発言だろう。あるとしたら、ここでも裁判員が登場する場合くらいだろうか。
ただ、機能していないから新しく作ればいいじゃないかってのも、最高裁の側から言わせてもらうと、「おいおい」だろう。
だって、あんたたちを気遣って、今まで控えていたのにね。
立場ないよな。
早実初等部:総長自ら「7倍寄付金」要求 01年
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20040223k0000m040090000c.html

 学校法人早稲田実業学校(理事長・白井克彦早大総長、東京都)初等部が昨年秋の入試面接で募集要項の7倍の寄付金を要求していた問題で、入試初年度の01年11月、当時の早稲田大学総長で学校法人理事長だった奥島孝康氏(64)が、面接で自ら寄付金を要求していたことが関係者の話で分かった。奥島氏は総長退任後の02年と昨年の面接にも出席し、350万円の寄付金を求めていた。前総長の関与が明らかになったのは初めて。
 早実初等部の依田好照校長は、問題が発覚した先月の記者会見で、「1回目は、面接では(寄付金を要求した事実は)ありません」と述べていたが、事実と異なる可能性が強まった。
 初等部で初の入試面接(2次試験)があったのは01年11月12〜15日。受験した保護者らによると、3人1組の面接官が2班に分かれ、1次試験にパスした子供とその保護者を対象に実施した。
 その際、奥島氏は面接官の中央に座り、10〜15分間の面接の最後に父親に対して「新しい学校ですので、300万円ぐらいのものをいただければ運営が助かります」「入学されれば寄付はお願いできますね」などと確認を求めたという。
 複数の関係者は「面接会場で、しかも総長から寄付金を要求されたことに保護者はみんな驚いていた」「初等部の校長や教頭だけでなく経営側の責任者まで面接に出てきたこと自体、おかしいと思った」と証言する。
 翌02年、奥島氏は任期満了で総長を退任した直後の11月11〜14日の面接にも4人1組の面接官の1人として出席。前年同様、最後に「わが校は新しい学校を建て、借金で成り立っています。ご寄付を皆様から350万円いただくと成り立つのですが、いかがですか」などと要求したという。
 毎日新聞は初等部を通じて奥島氏に取材を申し込んだが、溝渕日出世・初等部事務部長が「1月の会見で説明しており、これ以上特に申し上げることはない。都から指摘された点については厳粛に受け止め、今後改善していきたい」と文書で回答した。
 早実はこの問題で先月、都から経常費補助金(私学助成)の2割にあたる1億242万円の減額処分を受けている。【千代崎聖史、横井信洋】
[毎日新聞2月23日] ( 2004-02-23-03:00 )
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なんでも真似をするけど、何をやっても慶應に勝てない、早稲田の真髄ここにありってか。
いっちゃおっかな。この、銭ガメが。

2004/02/19

憲法前文に「伝統」「愛国心」を 自民党PTが論点整理
http://www.asahi.com/politics/update/0219/005.html

 自民党憲法改正プロジェクトチーム(杉浦正健座長)は19日、05年11月に作成する予定の憲法改正草案のたたき台として、「前文」と「国会」「内閣」に関する論点整理案をまとめた。憲法前文については「書き換える」とし、日本の歴史・伝統・文化・国柄、健全な愛国心を盛り込み、9条の見直しを反映させる、などとした。小泉首相が提唱していた「首相公選制」については「反対が多数意見」として導入見送りの方向を打ち出している。
 論点整理案では、「憲法前文に盛り込む事項」として、現行憲法の国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の3原則を掲げた一方、「誤った平和主義、人権意識への戒め」も盛り込むべきだと指摘。党内の「国民の義務規定を明確化するべきだ」(幹部)などの声を反映した。また、今後の「安全保障」「戦争の放棄」を巡る議論の集約結果を前文に明記する狙いから、「9条の見直しを反映させる」とした。
 一方、首相が今年に入って検討を指示した「衆参二院制の見直し」については、賛否をめぐる議論がほぼ二分されたため具体的な方向は示さず、「賛否両論」の意見を紹介するのにとどまった。
 同チームは今後、「安全保障」「国民の権利」「地方自治」などについても議論を進め、夏の参院選までに、憲法全体にわたる改正内容の論点整理案をまとめる。これを受けて党憲法調査会が憲法改正草案のとりまとめに入る。
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「日本の歴史・伝統・文化・国柄、健全な愛国心を盛り込み、9条の見直しを反映させる」とあるが、どこまでできるか楽しみなもんである。
気持ち悪いやつらだなって思うのは、僕が「健全」じゃない愛国心の持ち主だからだ。
「愛国心」という、行動と結びつくことなく存在しうる領域の多い事柄に、「健全」というこれまた行動と結びつくことなく存在しうる用語で制限を試用とする場合には、その制限の度合いは、どうしても、制限しようと思う側が強いか、そうでないかに、左右されることとなる。
つまりは、「健全」とは何かをめぐってである。

前にも言ったことだが、「国民の義務規定を明確化するべきだ」(幹部)とのことは、そうしたいならば、そうならなかった場合に、公職を辞去する覚悟をもって言ってもらいたい。そういうあなた方は、自分が権力のサイドにいると気づいているのだろうか?「兼職」は不可能じゃない?
自分がコントロールされる側だと、教わらなければ、わからないんだろうかね

2004/02/15

有期刑、最長30年に延長 97年ぶり刑法大幅改正
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040210-00000161-kyodo-soci

 野沢太三法相は10日、治安の悪化や犯罪の凶悪化に歯止めをかけるため、罰則強化や公訴時効期間延長を柱とする刑法・刑事訴訟法など刑事法改正要綱を法制審議会(会長・鳥居淳子成城大教授)に諮問した。
 凶悪犯罪の法定刑を引き上げ、有期刑の上限を最長30年に延長する。集団による女性暴行事件が目立つことから集団強姦(ごうかん)罪を新設するなど性犯罪を厳罰化、殺人など死刑に当たる罪の時効を15年から25年にする。
 刑法は1907年の制定以来全面的な見直しがなく「国民の意識とのずれ」が指摘されており、97年ぶりの大幅改正となる。法務省は法制審の答申を受け今秋の臨時国会に改正案を提出する方針。成立すれば年内にも施行する。(共同通信)
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いきなり刑法についての無知を露呈するが、人を殺して10年逃げている人は、あと5年でいいのだろうか?
それとも、15年になってしまうのだろうか?
うーん…
やはり、5年だと思うのだがどうなのだろう。
どうも、自分がそうなったときのことを真っ先に考えてしまうのは、法的思考のバランスばいいのかもしれないが、抽象的危険性を感じさせるものかもしれない。

2004/02/10

「言葉の暴力」もDV、元配偶者も対象に DV法改正案
http://www.asahi.com/politics/update/0210/009.html

 参院の超党派議員でつくる「ドメスティック・バイオレンス(DV)防止法見直しに関するプロジェクトチーム」(座長・南野知恵子自民議員)は10日、同法改正案の骨子をまとめた。配偶者だけだった保護対象に元配偶者なども加えるほか、言葉の「暴力」もDVに位置づける。今国会で、議員提案による法改正をめざす。
ただし、言葉の暴力は、行政による救済にとどめ、保護命令制度の対象外とする。

 このほか、風俗産業などで働く外国人女性がDV被害にあっても十分な保護が受けられなかったことに配慮して、「職務関係者は、被害者の国籍、障害の有無等を問わず人権を尊重すべき」と規定する。
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低脳な思いつき。
そのレトリックと法律上の暴力概念とを区別できないことが、「暴力」の定義にいかなる危険を及ぼすのか理解できないのだろう。
さらに、彼らは結局のところ、憲法の基礎理念であり、三大原則の一つである、基本的人権の尊重に対して軽い意識しか持ち合わせていないことが、これにより露呈されている。
「人権を尊重すべき」ことは、彼奴等の改正案を必要としない。
実定法規範である憲法にかかれていながら、充分に実現されていないことを、新たな法文により実現しようとする態度は、本末転倒であろう。
立法府の人間の考える思考順序ではない。
きわめて場当たり的。穴の開いた水がめから水が漏れないようにするために、水を抜けばいいというようなものだ。
じゃあ、水はどうするのだ?

2004/02/03

電車内盗撮の痴漢えん罪ネット元代表に執行猶予付き判決
http://www.asahi.com/national/update/0203/025.html

 電車内で女性の下半身を盗み撮りしたとして東京都迷惑防止条例違反の罪に問われた「痴漢えん罪被害者ネットワーク」の元代表で無職の長崎満被告(47)に対し、東京地裁は3日、懲役6カ月執行猶予4年(求刑懲役6カ月)の判決を言い渡した。水上周裁判官は「犯行後に携帯電話を壊して罪証隠滅工作をするなど悪質だ」と述べた。
 長崎被告は公判で、「酒に酔っていて記憶がない」と述べたが、判決は「証拠上、酩酊(めいてい)していたとは到底認められず、反省しているのか疑問だ」と批判した。
 弁護側は「画像には下着が写っていないから罪にあたらない」と無罪を主張したが、「スカートの中を狙っており、社会通念上、ひわいな行為で違法だ」と結論づけた。
(02/03 19:42)

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弁護側の主張はむなしい限り(太ももは写っていたんだろうなあ…、まあそれも関係ないけど)だが、例えば、記録媒体をセットしていないデジカメで、シャッターを押したらどうなんだろうかということになると、ちょっと難しいことになる。下着が見えるアングルで、撮影行為をすることがいけないのか、それとも、再現可能な形で残すことがいけないのか。

東京都迷惑防止条例 第5条(粗暴行為の禁止)
1. 何人も、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しくしゆう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない。

漠然とした規定だが、スカートの隙間を狙って撮影する行為が、上に該当するかどうかである。まあ、該当するだろう。
もちろん、この条例が、違憲、違法でない場合であるが。