2004/06/30

分離壁を違法と認定、ルート再考命令 イスラエル最高裁

ソースはこちら。

イスラエルがパレスチナ人の土地を強制収用して分離壁を建設することが妥当かどうかが争われた裁判で、イスラエル最高裁は30日、収用決定の一部を取り消し、建設ルートの再考を政府と軍に命じた。ルートを決めるにあたってパレスチナ人住民への人道上の配慮が不足しており、違法と認定した。モファズ国防相は同日、これを受け入れると語った。
 イスラエル政府の分離壁計画責任者によると、これまでに分離壁をめぐる係争は40件近くあったが、収用決定が取り消されたのは初めて。最高裁は「通行ゲートの設置などでパレスチナ人にも配慮している」という政府の主張を明確に否定したうえで「ルートを変更することで安全の程度が下がるとしても、人道配慮のためには甘受すべきだ」とも指摘した。
 エルサレム近郊の分離壁ルート近くのパレスチナの自治体が、イスラエル政府とヨルダン川西岸地区の軍司令官を相手取り、収用決定の取り消しを求めていた。
 最高裁は、治安維持のために分離壁を建設すること自体は妥当だと認めたが、分離壁によってパレスチナ人の住民が自分の農地から切り離される実態を重視した。通行ゲートや許可証によって農地への通行は確保されるという政府側主張を退け、一部の収用決定を取り消した。
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CNNによれば、"Wall must not infringe on lives of Palestinians"である。歓迎すべきか?
むしろ、これは、イスラエル当局サイドにとっての、削りしろのようなものではないのか?ともあれ壁建設自体の合法性のお墨付きは得たわけである。今後はより人道的に壁を建設すればよい。

New York Timesより、双方の言い分:
Israel says that the barrier is strictly a security measure, intended to prevent Palestinian suicide bombings and other attacks, and that it could be moved or torn down at a later date. Palestinians denounce it as a land confiscation that would greatly disrupt the lives of many Palestinians and complicate efforts to establish a Palestinian state.
壁の目的は安全ととるか土地の収奪ととるか。また、一時的なものとみるかどうか。パレスチナ自治区(一方の言い分によれば自治政府)をめぐる領域確定はいまだに争いがあるところであり、今回の隔離壁確定はその既成事実となる可能性が大きい。つまり、イスラエル側からのハードな提案である。
一時的なものであっても、隔離壁によってパレスチナ住民の生活の実態がなくなる。どちらかのものであったものをどちらのものでもなくする効果がある。

CNNによれば、「分離フェンスの問題では、オランダ・ハーグの国際司法裁判所が今年7月9日に、国際法に違反するかどうかについて勧告的な判断を示す見込みで、今回判決が及ぼす影響が注目される」となっているが、それについてのイスラエルの対応も予想通りで、
[Gissin said the international court has no right to adjudicate the issue, and Israel will not recognize its ruling. "What the court in The Hague wants is that we simply have no right to self-defense," Gissin said. "It creates a dangerous precedent." ]
である。

隔離壁に関する情報はこちら。
アパルトヘイト・ウォール

2004/06/29

防犯カメラを店外にも サークルK、強盗続発で

ソースはこちら。

 愛知県などで強盗が急増しているため、コンビニの「サークルK」は7月以降、従来は店内だけだった防犯カメラを店の外側にも設置し、犯人の姿などを記録することにした。運営会社のサークルケイ・ジャパン(同県稲沢市)が29日、明らかにした。
 新しいカメラは入店者の人相や逃走用の車のナンバーなどが確実に写るよう、軒下付近に外側向きに付ける。7月以降に出店する店舗の経営者に設置を勧め、本年度中に約200店に導入する。店外へのカメラ設置はコンビニ大手ではセブン?イレブン・ジャパンに続き2例目という。
 サークルKが約850店ある愛知県では、昨年1年間にコンビニ強盗が過去最悪の75件も起きた。今年は6月下旬までに70件も発生。他の都道府県でも増加中だ。
 愛知県警生活安全部は「店外にカメラを置くことで、犯人の人相などがよく分かるようになり、犯人逮捕にもつながる」と歓迎している。(共同通信)
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昨日アマゾン(ここでも履歴はばっちり把握されているのだが…)で一冊の本を注文した。
Jeffrey Rosen, "The Naked Crowd: Reclaiming Security and Freedom in an Anxious Age"である。

この著者についての紹介は、こちら。

著者のローゼンは次のように語る:
民主主義国家においては、政府は国民の望むことを行なう。監視カメラと犯罪件数には関連性がないことを示す実際的な論拠があったとしても、国民がそのことに無関心だとしたら、政府が関心を持つ必要もない。監視カメラは安いし、気休めにはなる。もしこれらのテクノロジーで(人々が)安心すれば、パニックを起こすこともないし、おとなしく仕事に向かうだろう、というわけだ。費用対効果という視点で考えれば、監視カメラにも意味があるという言い方もできる。しかし、何らかの心理的なメリットがあったとしても、本当に効果のあるテロ対策に目が向かなくなるというデメリットの方が大きいと私は思う。

この本が、今後この問題を考えるときにキーとなる文献になりそうな予感がした。

実践団体として、
「監視社会を拒否する会」

外国人拘束者の異議申し立て権認める 米連邦最高裁

e2ccd32c.jpgソースはこちら。

米連邦最高裁は28日、キューバの米グアンタナモ基地に国際テロ組織アルカイダとの関連容疑などで収容されている外国人拘束者らにも異議申し立ての権利を認める判決を下した。ブッシュ政権はこれまで同基地内の拘束者をジュネーブ条約で保護される戦争捕虜ではなく、条約適用外の敵方戦闘員として扱い、無期限に拘束できると主張してきたが、見直しを迫られそうだ。
 最高裁はこの日、連邦憲法で保障される権利を政府が戦時下に制限できるかどうかを争ってきた三つの裁判について同時に判断を下した。
 同基地の訴訟は、アフガニスタンで捕らえられ、同基地に拘束されたタリバーン兵らの担当弁護士が身柄拘束に対する異議申し立ての是非を争ってきた。
 判決は、連邦裁判所が外国人拘束者の異議申し立てに対する裁判権を持っていることを6対3で認めた。多数意見の中でスティーブンス判事は「基地の外国人は、米国市民と同様に、連邦裁判所に訴える権利を与えられている」と指摘している。
 また、アフガニスタン戦争で捕らえられた米国籍のタリバーン兵ヤセル・エサム・ハミド捕虜が敵方戦闘員として扱われ、弁護士に会う権利などを制限されたことを争ってきた公判では、8対1で異議申し立てする権利を認めた。多数意見の中でオコーナー判事は「米国市民の権利について言えば、戦争状態といえども決して大統領に白紙小切手を与えるものではない」と指摘した。
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上のオコナー判事の陳述は"A State of War is Not a Blank Check for the President When it Comes to the Rights of the Nation's Citizens"である。

CNNはこちら。

HAMDI et al. v. RUMSFELD, SECRETARY OF DEFENSE, et al.
Souter, Ginsburg, Scalia, Stevensの4判事は、Hamdiの即時釈放を求め、SouterはHamdiを独房に隔離拘禁しているのは、ジュネーヴ条約に違反していると述べている。

RUMSFELD, SECRETARY OF DEFENSE v. PADILLA et al.
RASUL et al. v. BUSH, PRESIDENT OF THE UNITED STATES, et al.

2004/06/27

Internet under surveyllance 2004

「国境なき記者団 (reporters without borders)」のサイトでは、各国のネットでの言論状況について報告している。
日本はこちら。
エシュロンのアジア中継地であること、入国管理局が不法滞在と思われる外国人の情報提供をネットで呼びかけていること、サイバー犯罪条約などについて報告している。

2004/06/23

参院選:1票の格差 最高裁警告も何の是正もせず実施

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 「現状が漫然と維持されるなら、次は違憲の余地がある」。参院選の1票の格差をめぐり、最高裁が今年1月の判決でこんな警告を発したにもかかわらず、24日公示の参院選は何の是正もされぬまま実施される。東京選挙区(改選数4)と鳥取選挙区(同1)の格差は、前回01年参院選の最大格差5.06倍より大きい5.14倍(03年10月現在)。有権者から選挙の正当性への疑問も出る一方、対策を放置した政党や候補予定者から改革の姿勢は感じられない。
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くるぞ、くるぞっ。

前回では、多数意見(10-5)で合憲と判断されたが、補足意見で多数はのうち4名(裁判官亀山継夫,同横尾和子,同藤田宙靖,同甲斐中辰夫)が「仮に次回選挙においてもなお,無為の裡に漫然と現在の状況が維持されたままであったとしたならば,立法府の義務に適った裁量権の行使がなされなかったものとして,違憲判断がなさるべき余地は,十分に存在するものといわなければならない。」とした。
それに、反対意見(裁判官福田博,同梶谷玄,同深澤武久,同濱田邦夫,同滝井繁男,同泉?治)を足すと、単純計算で、今回の参議院選挙での定数が是正されないままの選挙は違憲となる。

1月14日判決の原告は早くも「警告で何も変わらない以上、選挙後すみやかに提訴して裁判所に明確な違憲判決を出してもらうしかない」としている。
半ば慣習行事となった印象もあった、定数違憲訴訟であるが、ついに、選挙が無効となるときがくるのだろうか?
選挙を無効とした場合、当然ながら、やり直しとなる。衆議院と異なり、参議院は半数の改選であって、半数は現職のままである。つまり、参議院としての機能に欠けるところはないために、衆議院よりも無効判決を出しやすいという側面がある。

判決文はこちら:
H16.1.14 大法廷・判決 平成15(行ツ)24 選挙無効請求事件

なお、非拘束名簿式比例代表制の合憲性についても判断をしている。それはこちらから。最高裁は合憲と判断している。

2004/06/22

年金改革法、条文ミス 上乗せ年金支給の根拠「消える」

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成立したばかりの年金改革関連法のうち、厚生年金保険法に改正すべき条文の直し漏れがあり、条文どおりに解釈すれば一部の上乗せ年金が支給できない可能性もあることが22日、明らかになった。
 直し漏れが分かったのは、会社員などが加入する厚生年金保険法の第44条。年金受給者の配偶者が65歳未満や子どもが18歳未満の場合などに、通常の老齢年金に加えて「加給年金」を支給することを定めている。
 改正前の44条は、通常の年金額を定めた43条に続く形で、「前条の規定にかかわらず、同条に定める額に加給年金額を加算した額とする」として、老齢厚生年金に上乗せして加給年金を支給することを規定していた。
 今回の改正では、43条に新たに2?5を付け加え、年金の給付額を抑制する「マクロ経済スライド」の内容を盛り込んだ。その際、44条は手直ししなかったため、44条の「前条」「同条」は、新たに加わった43条の5を示すことになり、上乗せ支給の法律上の根拠がなくなってしまった。浅尾慶一郎参院議員(民主)の指摘で分かり、厚労省も「チェック漏れだった」と認めている。
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改正前の条文はこうなっている(構造のみ)。
第43条 老齢厚生年金の額は…額とする。
2 老齢厚生年金の額については、…その計算の基礎としない。
3 被保険者である受給権者が…、年金の額を改定する。

第44条 老齢厚生年金の額は、受給権者がその権利を取得した当時その者によつて生計を維持していたその者の65歳未満の配偶者又は子があるときは、前条の規定にかかわらず、同条に定める額に加給年金額を加算した額とする。

この、傍線の「前条」が今度はこれに変わってしまった。
第四十三条の五 調整期間における基準年度以後再評価率の改定については、前条の規定にかかわらず、物価変動率に調整率を乗じて得た率を基準とする…(以下略)。

法律案はこちら。 根気のある方はご覧になってください。

で、どう対処するかは、再びソースより。
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社会保険庁によると、加給年金の支給対象者は03年3月現在で315万人おり、このままでは混乱も予想されるため、厚労省は善後策を検討し始めた。具体的には(1)秋までに国会に新たに改正案を提出する(2)正誤表で対応する(3)当面は法改正なしで運用し、将来の改正時に修正する??などが挙がっており、今後、内閣官房とも協議して対応を決める方針だ。
 ただ、参院選後の国会日程は固まっていないうえ、10月の法施行までの時間的な余裕は少ない。年金改革法の白紙撤回を要求している野党が、法改正に応じる可能性も低く、厚労省は「法改正時には、こうした『条文ずれ』はよくある。44条の『前条』と『同条』が43条を指すのは、流れから明らか」などとして、できれば法改正なしで乗り切りたい考えだ。
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流れとしては、正誤表となるのだろうか。

2004/06/21

「環境テロ」が過激化??FBI特別捜査官が警告

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Kristen Philipkoski
2004年6月16日 2:00am PT  環境や動物に加えられる危害に抗議して暴力行為を働く「環境テロ」(エコ・テロリズム)は、米国内部からのテロ行為としては最大の脅威??米連邦捜査局(FBI)がこのような警告を行なった。
 1990年代初頭、イギリスやヨーロッパではバイオ企業の幹部や科学者が嫌がらせや暴力に悩まされていた。1996年には、こうした暴力行為が米国にも広がり始め、オレゴン州のウィラメット国有林で、デモ隊が米農務省林野部のトラックに火をつけるという事件が起こった。2003年の8月には、カリフォルニア州エメリービルにある製薬会社、米カイロン社で2個の鉄パイプ爆弾が爆発したほか、同年9月には、カリフォルニア州プレザントンにある健康・美容関連製品のメーカー、米シャクリー社でも爆発事件が起きている。
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目的が手段をすべて正当化するという、崇高なクルセイダーたち。
しかし彼ら/彼女らも、「目的がすべてを正当化する解決手段に反対するためにあえて最後の対抗暴力をもって解決を図る」"テロリスト"には無力なのだろう。

皇太子発言、党首討論でも話題に

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 参院選公示を前に東京都内で21日に開かれた党首討論会で、皇太子さまの「(雅子さまの)キャリアや人格を否定するような動きがあった」との発言が波紋を呼んでいることが取り上げられ、小泉首相は「(皇室の)公務がお忙しすぎる。全く自由のない生活で、ご苦労が多いと同情申し上げている」としたうえで、「静かに見守ってあげた方がいい」と語った。
 民主党の岡田代表は「皇室のあり方に根本的な疑念が呈されている。国民にも世界にも、もっと開かれた皇室が必要だ」と指摘。公明党の神崎代表は「宮内庁は皇太子夫妻が自由に活躍できるような環境づくりにしっかり取り組むべきだ」と注文をつけた。関連して女性天皇については「女帝を認める方向で(皇室典範を)改正していいのではないか」と語った。
 社民党の福島党首は「皇太子さんは雅子さんを守りたいのだと思う」と発言を支持。男性天皇しか認めないのは「女性差別撤廃条約に反する」として皇室典範改正に賛意を示した。共産党の志位委員長は「発言の真意、背景を知りうる立場にない」と述べた。
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やっぱ、社民党はだめだな。 というより、福島がだめなのか。女性差別撤廃条約の対象となる一般的な女性と、皇族の女性とで、パラレルな思考を行っている。

簡単な補足。
奥平さんは、そもそも、天皇制自体日本国憲法の一般理念と乖離しているのだから、法の下の平等を天皇および天皇家に適用しようとすること自体がナンセンスとしている。
東大の石川健治教授は、制度体保障(制度的保障)は、日本国憲法においては、天皇家にこそのみ適用されるのではないかと示唆している。
「最も典型的な制度体保障は、実は、制憲者たる国民が、新たに創設された象徴という、きわめてデリケートな公職に対する人的リクルートメントを、伝統ある天皇家に依頼し、そのために、公法上の制度体としての天皇家の特権的地位を存続させた格好になっている、憲法第一章にこそ求められるはずである。…すなわち、制度体保障がなされた以上は、憲法典が存続する限り、その身分的特権は保障される。…ただしそれは、普遍主義的な「人権」の論理ではなく、憲法律レヴェルにおいて飛び地のように保存された「身分」「特権」の論理であって、その反面として、かかる特権の故に身分的義務が伴う。そうした義務から解放されるために、「人権」を援用することは論理的に不可能である。」(石川健治著、「自由と特権との距離」、日本評論社、236頁)

2004/06/14

星条旗裁判:米連邦最高裁が門前払い 「忠誠の誓い」継続

THE PLEDGE
I pledge allegiance to the flag of the United States of America,
and to the republic for which it stands, one nation under God,
indivisible, with liberty and justice for all.


 星条旗に向かって「神の下の一つの国」と唱える「忠誠の誓い」を公立学校の生徒に課すことが米憲法の政教分離原則に違反しないかが争われた裁判で、米連邦最高裁は14日、サンフランシスコ連邦高裁の違憲判決を覆し、原告の訴えを門前払いする判決を言い渡した。原告には提訴する法的資格がないとする形式的な判断で、「忠誠の誓い」の合・違憲性には踏み込まなかった。
 この判決により、公立学校での「忠誠の誓い」は従来のまま継続することになる。ただし、法律専門家らは同様の憲法論争が再度、展開されるとみている。
 原告はカリフォルニア州サクラメントの医師、マイケル・ニュードーさん(50)。「神の下」という言葉が米憲法の政教分離原則に違反すると主張し、娘(10)が通う小学校を管轄する市教育委員会などを相手に4年前に提訴していた。
 サンフランシスコ連邦高裁は02年、「神の下」という表現は「国家による特定宗教の支持にあたる」と判断し、違憲判決を下した。これに対してブッシュ政権や米議会が一斉に反発し、教育委員会側が上告していた。
 重要な憲法判断が予想されていたが、連邦最高裁は同日、ニュードーさんが離婚後に娘の養育権をめぐって元の妻と争いになっていたことを指摘し、「娘の完全な親権を持っておらず、親として訴える資格がない」と判断した。関与した8人の判事のうちレンキスト長官ら3人は「儀礼的・歴史的なもので違憲とはいえない」との個別意見を述べたが、最終的に憲法判断はなく、「肩透かし判決」になった。
 忠誠の誓いは、全米の多くの公立校で毎朝行われる儀式。生徒たちは星条旗を前に、右手を胸に当て、「私たちは神の下に一つになった自由と正義の国、合衆国に忠誠を誓います」と唱える。
 連邦高裁の違憲判決後に、米上下院は忠誠の誓いを支持する決議案を採択。また、5月発表のギャラップ調査では、国民の91%が「神」という言葉を含む現在の誓いを変える必要はない、と回答している。
*-*-*
判決の全文はこちら。
ELK GROVE UNIFIED SCHOOL DISTRICT et al. v. NEWDOW et al.

CNNはこちら。
http://www.cnn.com/2004/LAW/06/14/scotus.pledge/index.html

参考として、過去のFlag salute(国旗敬礼)の事例
Minersville School Dist. v. Govitis, 310 U.S. 586
West Virginia State Board of Education v. Barnette,319 U.S. 624

2004/06/08

権力--Gewalt--暴力

たまには、僕の専門のことでも。
いま、「暴力」、「権力」について勉強している。もともとは、カール・シュミットの例外状態を検討の対象としていた(これについては、http://www.dai-rol.netからどうぞ)。そこから進んで、法秩序の及ぶ範囲、さらには、法の強制力へと延びていった。もちろん、そこには、法の正当化根拠も含まれている。
タイトルにもあるとおり、ドイツ語は英語とは異なり、「暴力」と「権力」とは同じ言葉で、"Gewalt"となる。その感覚でいえば、「権利」、「法」も"Recht"である。名詞Gewaltは動詞waltenの受動名詞であり、「waltenされたもの」が語源である。"walten"とは「管理・統治する」という意味であり、したがって、Gewaltの考察においては「管理・統治する」のは誰なのかということが重要となる。これは、Gewaltの保持者(僕はGewalthaberと呼んでいる)と一致しないこともある。
さて、僕の思考のベースには、シュミットがあるのは当然だが、"Gewalt"を考えるにあたって、「暴力」では、ヴァルター・ベンヤミン(Walter Benjamin)を第二ベースとして、「権力」では、ジョルジョ・アガンベン(Giorgio Agamben)を第二ベースにしようと考えている。もちろん、両者とも、クロスして"Gewalt"を考察しており、パシッと分けられるものではない。今は、フーコーまであとちょっとである。つまり、まだ、足りない。その関連では、アガンベンは「ホモ・サケル」を読み直し中であり、なかなか面白い。
最近酒井隆史著「暴力の哲学」という本をたまたま本屋で発見して読んだ。なかなか面白かった。勉強になった。しかし、個人主義と全体主義とは必ずしも背反しないという指摘はもっともだが、そこで安易に集団性が必要と運んでしまったのは勇み足だった。
野にこもる修行僧的個人主義でない限り、集団性=社会性は、当然の前提となっていることであり、社会が共同体が国家が、すなわち、集団がいかなる性質を帯びているか、そしてその集団が「個」にいかなる影響を与えるのかを重視するのが個人主義の集団へのアプローチである。何らかの集団が必要というのは、何かを言っているようで、何もいっていないに等しい。
まあ、それよりも、本筋に戻そう。その本で気になったのはシュミットの有名な定義「主権者とは、例外状態に関して決定を下すものである」"Souverän ist wer über den Ausnahmezustand entscheidet."である。それをその本では「例外状態において」としている。この違いはとても大きい。同様のことを杉田敦法政大学教授もやっていた。ドイツ語の"über"+4格名詞は英語での"toward", "beyond"に該当する。つまり、通常状態から例外状態へと移行することを宣告する権限者"Gewalthaber"である。移行した後の例外状態においては宣告者が決断を下すものとは限らない。ヴァイマール憲法においては、大統領の権限であるが、その権限は上で述べた"die waltende Gewalt"なのであり、大統領に配分された権力である。大統領は主権の行使者であるが、主権者ではない。しかし、例外状態を宣告しうるという権限においては「至高(souverän)」である。
詳しくは、http://www.dai-rol.net/studies/papers.htmlで、「Carl Schmittの通常状態と例外状態」を見てほしい。これは、ずっと言ってきたことなのだが、どうも今でも見られたので、つい久しぶりに言いたくなった。

2004/06/06

<労災障害等級>人さし指の特別扱い70年ぶり見直し

 人さし指の特別扱いをやめます??。厚生労働省は、労働災害で手の指を切断するなどした場合の障害等級を、約70年ぶりに見直す。「銃の引き金を引く指」として特別視されていた人さし指を、中指、薬指と同等とするよう労働基準法と労災保険法の施行規則を改正し、来月1日に施行する。
 労災の障害等級表では、物をつかむなど手の基本動作に不可欠な親指を損傷した場合の補償が最も高く、次いで人さし指、中・薬指、小指の順だった。等級表は1936年に改正された工場法施行令を引き継いでおり、約70年ぶりの改正となる。戦前の陸軍身体検査規則では、人さし指を銃の引き金を引く指として高く評価し、欠損している場合は徴兵検査で不合格にしていたという。
 厚労省は98年に日本災害医学会から「人さし指を中・薬指より高く評価しているのは不合理」などの指摘を受けて検討。物をつかんだりする機能は、人さし指と中指、薬指とあまり差がないとの結論に達した。
 今回の見直しで、人さし指を切断した場合を10級から中・薬指と同じ11級に引き下げた。親指は9級のまま。小指は他の指に比べ重要度は低いものの再評価され、13級から12級に引き上げられた。【大石雅康】(毎日新聞)
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なるほどね。でも、人差し指で支えて中指で引き金を引くってやり方もあるよな。
障害等級表では、男女差がある。
7級はこれ。
(12) 女性の外ぼうに著しい醜状を残すもの
ついでにいうと、これと同じ。
(13) 両側のこう丸を失ったもの
で、男はというと、
(13) 男性の外ぼうに著しい醜状を残すもの ←12級

顔はやばいよ、ボディにしな。