2004/06/14

星条旗裁判:米連邦最高裁が門前払い 「忠誠の誓い」継続

THE PLEDGE
I pledge allegiance to the flag of the United States of America,
and to the republic for which it stands, one nation under God,
indivisible, with liberty and justice for all.


 星条旗に向かって「神の下の一つの国」と唱える「忠誠の誓い」を公立学校の生徒に課すことが米憲法の政教分離原則に違反しないかが争われた裁判で、米連邦最高裁は14日、サンフランシスコ連邦高裁の違憲判決を覆し、原告の訴えを門前払いする判決を言い渡した。原告には提訴する法的資格がないとする形式的な判断で、「忠誠の誓い」の合・違憲性には踏み込まなかった。
 この判決により、公立学校での「忠誠の誓い」は従来のまま継続することになる。ただし、法律専門家らは同様の憲法論争が再度、展開されるとみている。
 原告はカリフォルニア州サクラメントの医師、マイケル・ニュードーさん(50)。「神の下」という言葉が米憲法の政教分離原則に違反すると主張し、娘(10)が通う小学校を管轄する市教育委員会などを相手に4年前に提訴していた。
 サンフランシスコ連邦高裁は02年、「神の下」という表現は「国家による特定宗教の支持にあたる」と判断し、違憲判決を下した。これに対してブッシュ政権や米議会が一斉に反発し、教育委員会側が上告していた。
 重要な憲法判断が予想されていたが、連邦最高裁は同日、ニュードーさんが離婚後に娘の養育権をめぐって元の妻と争いになっていたことを指摘し、「娘の完全な親権を持っておらず、親として訴える資格がない」と判断した。関与した8人の判事のうちレンキスト長官ら3人は「儀礼的・歴史的なもので違憲とはいえない」との個別意見を述べたが、最終的に憲法判断はなく、「肩透かし判決」になった。
 忠誠の誓いは、全米の多くの公立校で毎朝行われる儀式。生徒たちは星条旗を前に、右手を胸に当て、「私たちは神の下に一つになった自由と正義の国、合衆国に忠誠を誓います」と唱える。
 連邦高裁の違憲判決後に、米上下院は忠誠の誓いを支持する決議案を採択。また、5月発表のギャラップ調査では、国民の91%が「神」という言葉を含む現在の誓いを変える必要はない、と回答している。
*-*-*
判決の全文はこちら。
ELK GROVE UNIFIED SCHOOL DISTRICT et al. v. NEWDOW et al.

CNNはこちら。
http://www.cnn.com/2004/LAW/06/14/scotus.pledge/index.html

参考として、過去のFlag salute(国旗敬礼)の事例
Minersville School Dist. v. Govitis, 310 U.S. 586
West Virginia State Board of Education v. Barnette,319 U.S. 624

0 件のコメント: