市議失職2人の申し立て却下=国旗掲揚反対で議長席占拠−横浜地裁
横浜市議会の本会議場での国旗掲揚に反対して議長席などを占拠し、議会から除名処分を受けて市議を失職した井上さくらさん(37)と与那原寛子さん(38)が、市議会(小林昭三郎議長)を相手に申し立てた処分の執行停止について、横浜地裁は15日、申し立てを却下する決定をした。
他の処分(戒告、出席停止)は内部規律で解消されるために、裁判になじまないとされている一方で、除名はその効果が当然に外部に及ぶために、裁判に訴えることができるとされている。…はずであるが、判決によれば「却下」である。
地方議会の議員の懲罰のうち,除名は議会からの排除という議員の身分にかかわる重大な事柄であり,しかも,住民の意思とかかわりなく決められることなどに鑑みると,除名はその議会内部の紛争というにとどまらず,市民法秩序と直接関係する問題として,司法権が及ぶというべきである。(H13. 9.21 大阪高裁)
却下:内容に判断することなく、形式的、手続的要件により訴えを退けること。
棄却:内容を判断した結果、訴えを認めないこと。
このトピックについては、以下のサイトがある。
横浜市市政市議会をチェックする会…各会派へ質問状を発して、その回答を掲載しているなど、参考となる。ただし、このサイトは、除名処分に対して反対・賛成ということが目的ではなく、手続き、市民への説明責任という点から、今回の事件をとらえている。
今回除名された両議員
地方議会の懲罰を考える
民主党の弁明
出席停止から除名へと変化した理由について以下のように述べている。
●両議員からの反省や謝罪の弁明がなかった
●日の丸や少数意見取扱の問題にすり替えて正当化するなど、終始の開き直りの態度を維持した
●「除名」と「出席停止(7日間)」との間の懲罰が規則には無い
●知事の審決や裁判など第三者の判断を仰ぐことも必要だと判断した
●両議員の行為は有権者への背信行為にほかならず、計画的な行為という点も看過できない
党議拘束はかけていなかったようである。
共産党の弁明
懲罰そのものに、共産党は賛成している。
●議長席等占拠という実力行使で会議を空転させ、議場を混乱させたことは、議会の秩序と品位を著しく汚すものである
●両議員の弁明は、一片の反省もみられないものであったこと。
●「5/29本会議で強制的に退場させられた件」について、「議長等からの回答がないままの本会議開会は許されない」と正当化し、居直るものであった
ただし、
●公開の議場での陳謝が相当である
参考として懲罰対象となった他の地方議員のサイト
白井えり子…日進市議会
ごとう尚子…日進市議会
そが千代子…加茂町議会
草島進一…鶴岡市議会
戸田ひさよし…門真市議会
条文上は以下の規定がある:
地方自治法
第134条
1 普通地方公共団体の議会は、この法律並びに会議規則及び委員会に関する条例に違反した議員に対し、議決により懲罰を科することができる。
2 懲罰に関し必要な事項は、会議規則中にこれを定めなければならない。
第135条
懲罰は、左の通りとする。
1.公開の議場における戒告
2.公開の議場における陳謝
3.一定期間の出席停止
4.除名
2 懲罰の動議を議題とするに当つては、議員の定数の8分の1以上の者の発議によらなければならない。
3 第1項第4号の除名については、当該普通地方公共団体の議会の議員の3分の2以上の者が出席し、その4分の3以上の者の同意がなければならない。
ただし、このような規定もある。
第136条
普通地方公共団体の議会は、除名された議員で再び当選した議員を拒むことができない。
来年は統一地方選挙である。
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