HIV感染被告が人権救済申し立て=洗面器に病名明記、差別待遇−京都弁護士会
京都拘置所(京都市伏見区、加藤正博所長)に拘置されている男性被告が、エイズウイルス(HIV)感染を理由に差別的な待遇を受けているとして、京都弁護士会に人権救済を申し立てていることが5日、分かった。
同弁護士会によると、男性は「HIV用」と記された洗面器の使用を強制されるなど差別的な待遇を受け、精神的にも追い込まれているという。既にこの男性を担当する職員の面会も行っており、今月末にも本格的に調査を開始する。 (時事通信)
京都拘置所(京都市伏見区、加藤正博所長)に拘置中の30歳代の男性被告が、エイズウイルス(HIV)感染を理由に「HIV用」と書かれた洗面器を使用させられるなどの差別的処遇を受けたとして、京都弁護士会(塚本誠一会長)に人権救済を申し立てたことが5日、分かった。HIVは日常生活上の接触では感染せず、国の機関である拘置所の人権意識が問われそうだ。
男性はHIV感染者で独居房に収容中。関係者によると、散髪の際、「HIV用」と書かれた洗面器を使わせられるなど、差別的扱いを受けたため、精神的ショックから医務官に相談するなどしたという。男性は6月4日、申し立てを起こし、弁護士会は同25日に弁護士を派遣、男性から事情を聴いた。拘置所側にも聴取し、意見書提出などを検討する。
弁護士会人権擁護委員の1人は「被収容者に対する人権意識が露呈した問題と認識している。客観的事実を把握していきたい」と話している。
衣川昌行・同拘置所総務部長は「一般論だが、感染性の高い病気の場合、必要なら他と区別するし、他の収容者の心情も考慮する。洗面器の存在は確認できていない。具体的な申し立て内容は収容者のプライバシーなので答えられない」と話している。【中村一成】(毎日新聞)
京都拘置所(京都市伏見区、加藤正博所長)に収容中の男性被告がHIV(エイズウイルス)感染者という理由で差別的な待遇を受けた、と京都弁護士会に人権救済を求めている問題で、同拘置所が京都新聞社の取材を受けた後、男性に幹部職員が謝罪し、処遇の一部を改善していたことが5日分かった。
拘置所では通常、毎食の食器はまとめて回収して洗浄される。しかし、男性によると、今年2月に収容されて以降、食器を回収されず自房での保管を指示されるなど、差別的な待遇を受けた。繰り返し改善を求めたが、変わらなかった、という。
京都新聞社が拘置所に取材を始めたところ、食器を回収するようになり、幹部職員の1人が男性に「食器をほったらかしにしといたらあかんと、(職員に)言っておいた」と説明。医務課も食器について対応の不備を認めたといい、男性は謝罪されたと話している。
また、所持品や入浴を介してHIV感染することはないのに、拘置所が男性の独居房の前にビニール手袋や消毒液を常備し、職員が男性の所持品を触る時に手袋を、触った後に消毒液を使っていた。入浴も、男性の順番は常に最後にされていたことが、男性の話で新たに分かった。 (京都新聞)
閉された空間の中で、HIV(エイズウイルス)感染者の男性被告は、偏見と差別に耐え忍ぶしかなかった、と訴えた。4日明らかにされた京都拘置所(京都市伏見区)のHIV感染者に対する差別処遇疑惑。「国の機関が、いまだにこの程度か」「意図的ないじめでは」。男性が告発する拘置所内の実態に、専門家や患者団体から非難が相次いだ。
面会した京都新聞記者に男性は切々と訴えた。それによると、男性は今年2月に京都拘置所に拘置されてから、食事や運動など多くの面で、他の収容者と区別された生活を強いられていた。体操を他の収容者と共にできるよう職員に要望したが、「拘置所の中にHIV感染者がいることが他の収容者に知れるとパニックになる」と断られた、という。
「何度も改善を申し入れたのに聞き入れられなかった。最大のプライバシーである病歴が他人に知られ、本当に悔しい」。男性は拘置所から受けた5カ月間に及ぶ処遇に怒りをあらわにした。
京都拘置所は再三の取材に対して、男性のプライバシー保護を理由に説明を拒んだ。
HIVの予防に詳しい京都大大学院医学研究科の木原正博教授は「HIVはだ液や汗では感染しない」と説明する。「食器やふろなど日常生活を共にしても問題ないことは、小中学校でも教育されており、今や社会の常識」と話す。
監獄人権センター代表の村井敏邦・龍谷大教授は「かなり以前にある刑務所の施設長から聞いた話」として、「HIV感染の受刑者がいて職員が気持ち悪がる」との不当な理由で、感染の恐れがないのに所持品扱いを区別していた、という。村井教授は「職員への教育はどうなっているのか。いまだに不要な区別をしているなら信じられない」と驚く。
大阪HIV薬害訴訟原告団長でNPO(民間非営利団体)「医療と人権」の花井十伍代表は「知識がないというレベルではない。懲罰の延長でやっているのか。全国のHIV患者が聞いたらやりきれない思いでいっぱいになるだろう。薬害エイズ事件で多くの患者に被害と悲しみを生み出し、反省した国の機関として言語道断」と憤っている。 (京都新聞)
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当然ながら言っておけば、洗面器を用いる場面で、HIVが他人へと伝染することはない。これは、根拠のない差別に該当することは、実にわかりやすい。
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